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『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』

流山児★事務所公演
『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』

座・高円寺

作:清水邦夫
演出:西沢栄治
芸術監督:流山児祥
出演:松本紀保、伊藤弘子
麻乃佳世、村松恭子、小林麻子、坂井香奈美
池下重大、井村タカオ、龍昇 ほか

1982年初演、清水邦夫のまぼろしの名作が今よみがえる!

舞台は北陸、深夜の百貨店。
今宵もひそかに「ロミオとジュリエット」の稽古がくり広げられる。
主役を演ずるは、かつて熱狂的な人気を持ちながらも解散してしまった
少女歌劇団のヒロイン・風吹景子。

しかし彼女は、戦争中に遭遇した空襲のショックで記憶をなくしていた…。
はたして歌劇団の仲間たちは再び集結するのか? 
そしてロミオはやって来るのだろうか?

自分の歌をうたうため、三十人の女優たちが舞い踊る!
流山児★事務所が演劇への愛を胸におくる、シアトリカルな夢のステージ。(座・高円寺HPより)

2009年に蜷川幸雄さんの演出で観劇した芝居。脚本と風吹景子役三田和代さんの芝居に圧倒された。
私的にはかなり好きな脚本なのだが、余り上演される事が無い。なので今回とても見たかった。

舞台中央には大階段。実際はデパートの階段だが、これが歌劇団の大階段を模している。
その階段を前に歌い踊るジュリエットたち!タイトルでは30人だが、今回の舞台では(多分)32人だった。

時を止めてしまって少女のままの風子。
地位も名誉もある、かつての歌劇団のファンだった男性陣が、バラ戦士の会として彼女を守る。

蜷川さん版を見た時は、彼女を守るバラ戦士の会の悲哀が印象に残ったが、今回は景子の凄まじいまでの芸への拘りを感じた。三田さんとは違った景子像。紀保さんの景子もまた素晴らしい。

景子が待って待ち続けたロミオ、相手役の弥生俊。
俊が盲目になっているというのも、ロミオとジュリエットの物語が成立するポイントだ。
だって容色の衰えた景子の姿を見なくて済むから。

三田さんは夢見る少女が、醒める事の無い世界のまま、死んでいくようだった。
紀保さんは狂気の中の覚悟の心中に思える。2人して芸に準じて、かつてのロミオとジュリエットのまま死んでいった。

それにしても女性という性は辛い。
今回のジュリエット達の衣装が、ピンクのオーガンジーのようなふわふわしたドレスに赤いバラの花があしらってあって、まさに「女の子」を体現したような可愛い衣装。
ピンクもひらひらも花柄も、着るには年齢制限があるのですよね…。

でも今回のジュリエットたち、それぞれ着こなしてて素敵でした。
全員で大階段の前で歌い踊る姿の素晴らしいこと!

時を止める事の何が悪いのだろう。大階段で花の中に横たわる2人は、残酷なまでに美しく尊い。そう思わせる今回の『雨の夏、三十人のジュリエットが還ってきた』だった。

しかし前回上演版も私には俊の娘が何がしたいのか、どうにも判らない。

俊は娘を置いて、若かりし頃の世界に準じてしまったけれど、胸糞悪いとは思わなかった。
「ラブ・ネバー・ダイ」とは大きな違いだ。単に劇作家の力量の違いでしょう。

なかなか上演の機会に恵まれないこの戯曲、今回見る事が出来て本当に良かったです。

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