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『No.9 -不滅の旋律-』

『No.9 -不滅の旋律-』

演出 白井 晃
脚本 中島かずき(劇団☆新感線)
音楽監督 三宅 純

出演
稲垣吾郎 剛力彩芽
片桐 仁 村川絵梨 鈴木拡樹
岡田義徳 深水元基 橋本 淳 広澤 草 小川ゲン 野坂 弘
奥貫 薫 羽場裕一 長谷川初範

初演を見逃したのがつくづく悔やまれる。
脚本、演出、音楽が見事に調和した素晴らしい芝居。役者陣も適材適所、特に主演の稲垣吾郎さんが圧巻の芝居。多くの人に見て欲しい。ライブビューイング等でこの芝居を全国で広く見られる機会があれば、と思う。

STORY(公式サイトより)

1800年、ウィーン。作曲家ベートーヴェン(稲垣吾郎)は、聴覚障害に犯され始めていた。音楽と孤独に向き合い、身分の差から愛する人ともうまくいかず、その心は荒んでいく。しかし、ピアノ工房で出会ったマリア(剛力彩芽)や弟達をはじめとする周囲の人々との触れ合いが、彼に変化をもたらし始める。

国の情勢が刻々と変化していく中、ナポレオン軍の敗北をテーマとした曲『ウェリントンの勝利』で成功を収めたベートーヴェンは、頭の中に鳴り響く音楽をひたすら楽譜に書き留め、名曲を生み出していく。その一方で、幼少期に父親から暴力を伴う厳しい教育を受けた影響で、苦しい幻影には悩まされ続けていた。そんな自分を自覚しながらも、自ら後見人となった次弟の息子カールに、自分の音楽の全てを託そうと異常なまでに執心してしまう。そして迎えた『第九』の演奏会。その創造的な試みに対する聴衆の反応は、彼の耳に届いたのか?
ベートーヴェンが生涯を賭けて問いかける本当の芸術とは……?

ベートーヴェンの波乱に満ちた人生を描いた物語。
当時の世情に翻弄されたウィーンが舞台である。

歴史の渦と人間関係と、うみだされる音楽の数々。
そのバランスが非常に優れている脚本。

白井晃さんの美意識が、隅々までいきわたった演出。
ベートーヴェンのピアノと舞い散る楽譜。

舞台の上手の下手に置かれたピアノにはピアニストが座り、紡がれる美しい音楽とコーラス。
前知識無しでの観劇だったので、まさかピアノの生演奏とは思わず、非常に贅沢な時間となった。
白井さんの演出と、音楽監督の三宅純さんのコンビの素晴らしさ。

そして主演の稲垣さん。

生涯のトラウマとなる、酒乱で暴力的な父との関係。
守るべき存在であった2人の弟。
ピアノ工房で出会ったナネッテとマリア。
恋した女性との離別。

いずれの関係も鮮やか。

弟2人がとても優しく兄を支え続ける。
働かない父にかわり育ててくれた兄を、弟2人は敬愛していたのだろうけど、結局ベートーヴェンは父と同じように弟を支配しようとし、彼らの絆は失われていく。
その支配は弟の忘れ形見である甥にも及び、やがて悲劇を招く。

その傲慢さでベートーヴェンの周囲からは、次々と人が去っていく。
だが彼の才能を愛するマリアは、彼の秘書そして日常生活全てを支えていく。

印象的なのはマリアが楽譜の束の中で心情を露呈する場面。
横暴なベートーヴェンに耐えられなくなったマリアだが、彼の書いた楽譜を見て、その音楽に自分は生涯とらわれる事を知る。

マリア(とヴィクトル)は、観客としては超一流のプロであり、ベートーヴェンの芸術の最大の理解者なのだ。

ヴィクトルに関しては、非常に面白いキャラクターだったので、もう少し本筋に関わって欲しかった。

逆に陽気で良い意味でいい加減だった警察官が、時流の変化と共に変貌していく姿が、物語の背景を上手く表している。

本当に良く出来た脚本。「ジャンヌ・ダルク」も良かったし、中島かずきさん、新感線以外に書いている脚本の方が面白いよ…。
アクトシアター+白井晃さんと相性が良いのだろうか。

最後は第9を生み出し幕。
芸術と苦悩を描いた芝居だが、第9を聞きながら何だか胸がいっぱいになり劇場を後にした

稲垣さんは56才までこの役を演じたいそうだが、ぜひ長く続けて欲しい。

【追記1】ヨゼフィーネ役、初演は高岡早紀さんだったのか!高岡さんで見たかったな…。魔界転生ももちろん素敵でした。

【追記2】そろそろ白井晃さんと山本耕史くんのタッグが見たい…。

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