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『ジハード 』

世界最前線の演劇1
『ジハード ―Djihad― 』 

作:イスマエル・サイディ
翻訳:田ノ口誠悟
演出:瀬戸山美咲
出演:さいたまネクスト・シアター0(ゼロ)
堀源起、竪山隼太、鈴木彰紀 / 小久保寿人

出演者は4人。舞台装置はほぼ無い。
休憩なし約2時間。
圧倒される舞台だった。

ベルギーからトルコ、シリアと物語の舞台は移る。

私がベルギーに行ったのは15年くらい前だけど、余り治安の良い国とはいえなかった。
ブリュッセルで同行者がスリに合いそうになったり、同じツアーの人が財布を掏られたりした。

現代のベルギー。
この国で差別されていた移民の若者たち3人。
彼らはシリアを目指して旅立つ。
そして戦争という現実に晒される。
ベルギーに帰ったとしても、彼らの居場所はない。

この芝居で一番感心したのは、「この戯曲を今、日本で上演し、観客に伝えたい」という強い思いを感じられた事。
遠い国の事でわかりにくい部分も考慮し、用語の解説、ベルギー・トルコ・シリアの位置関係を描いた用紙も配られていた。凄く観客に親切だし、芝居の理解にも大いに役立っている。

芝居が面白いのももちろんだが、その意欲も含めた結果が満員の客席だと思う。

この日アフタートークで「こんな無名の俳優だけで人が呼べるのかと思ったが、連日盛況で嬉しい」といった発言があった。それだけの素晴らしい時間を我々に提供してくれたのだから、誇って欲しい。

前日に『フリー・コミティッド 』を見て、随分とお客に不親切な芝居だなと思ったのも大きい。
(『フリー・コミティッド 』は何でこの戯曲を日本で上演しようと思ったのか、意図を聞いてみたいものです)

自分は10年前に普通にツアー客としてシリアを旅行した。
パルミナ遺跡に感動し、アレッポで石鹸を買い、現地の人と片言で喋ったり、凄く楽しい旅だった。
シリアの人はとても優しかった

3人の若者。イスマエルはドラゴンボールが大好きで漫画家になりたかったが、イスラム教は偶像崇拝が禁止。
(ドラゴンボールというのが良い。原本もドラゴンボールなのかしら)

最も敬虔なムスリムのビル。演じていた竪山隼太さん、「Take Me Out 2018」に出ていた方!全然違う役で途中まで気が付かず。

いまひとつ緊張感のないレダたが、彼こそシリアに来る必要が無かったのではないか。勉学に励み、恋人もいる。(だが恋人はイスムラ教徒では無い。その破局こそが彼をシリアに向かわせる)

銃口に晒される日々の中、同じアラブ系の顔をして、違う宗教を信じる人間にも会う。
敵、とは何か。

結局あっさりとビルとレダは死んでいく。本当にあっさりと。
イスマエルは投獄されベルギーに戻るが、なお一層の差別に晒され、自爆テロを試みる。
スイッチに手をかけるイスマエルに呼び掛けるのは、死んだはずのふたりの友人。

衝撃的なラストシーン。

シリアにむかおうとする彼らは、普通の若者であった。
こんな風に若者は戦争に行ってしまうのかもしれない。

凄い戯曲であり、素晴らしい芝居だった。
今年前半の自分的ベスト3のひとつ。(観たの7/1だけどまぁいいか)

2019年前半ベスト3は『TERROR テロ』『Take Me Out 2018』『ジハード』です。

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