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青年座『砂塵のニケ』

青年座『砂塵のニケ』青年座劇場 

作 長田育恵(てがみ座)
演出 宮田慶子
 

STORY 
ある日、美術修復家の緒川理沙は、ある絵画の修復を手掛けることになった。
それはパリの風景を描いた一枚の絵。
夭逝した天才画家加賀谷直人が遺したものだ。
修復とは、時代を遡って過去の痕跡をたどり、創作の原点を明らかにすること。
理沙は、手掛かりとなるその景色を求めてパリへと飛び立つのだった――。

一枚の絵が「過去」と「現代」を結び、「親」と「子」をつなぐ。
親が子に託すもの、親から子が受け継ぐもの、そして未来に渡すもの…。
悠久の時の流れの中、二つの世代を旅しながら、
現代に生きる一人の女性が自らの存在理由(レゾンデートル)を探る。

てがみ座の長田さんの脚本。
北斎の娘・お栄を描いた「「燦々」」もだが、女性と芸術の関わりを描く物語が絶品である。
長田さんの脚本が好きで、ここ一年くらい続けて見ているが、どれも面白く好みの作風です。

やり手の社長の母を持った娘・理沙。
彼女は母に反発し、美術品の修復家を目指している。
そんな彼女は加賀谷直人という画家の絵の修復の為に、来歴を求めてパリに来る。

シングルマザーの母。理沙は父が誰かも知らない。
加賀谷直人が彼女の父であろう事はすぐに予想がつくし、母との和解がテーマかとも思うが、そんな安易な予想は終盤で覆えされた。

理沙の失われた子供の頃の記憶。
必要以上に娘を自分の懐に入れようとする母。

余命宣告された加賀谷直人は、幼い娘を連れた旅でどんな光景を見て、どんな絵を描いたのだろう。

舞台転換が非常に上手く、回り舞台を使ってパリのアパート、現在と過去が自在に行き来する。
最後は、ニケが発掘されたギリシャのサモトラケ島で終わるのだが、その光景がとても美しかった。

登場人物がみな魅力的。
理沙に関わる人々がみな素敵だった。特に理沙がパリで係る人々。
もうひとつ。彼女をライバル視する、上昇志向の強い修復家の女性も、ほんの少しの出番なのに生き生きしていた。

加賀谷直人を演じた俳優さんの爪の間が、ちゃんと汚れていたのも好印象。

ちょっと長いかなと思う部分もあるが、長田さんの脚本は面白くて今後もぜひ見たいと思わせてくれます。嬉しい出会いだ。

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