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『TERROR テロ』 1/27マチネ

『TERROR テロ』
紀伊國屋サザンシアター

作 フェルディナント・フォン・シーラッハ
翻訳 酒寄進一
演出 森新太郎
出演 橋爪功/今井朋彦/松下洸平
前田亜季/堀部圭亮/原田大輔/神野三鈴

テロリストにハイジャックされた旅客機を撃墜し、164人の命を奪い
7万人を救った空軍少佐。彼は英雄か、罪人か?
決するのは裁判を見守る“観客”、つまりあなた自身です!

開演30分前に劇場へ。当日券は完売の文字。
(言い方は悪いが)一見地味なストレートプレイに、これだけの観客が入っているのは素晴しい事だ。
私も出来ればもう一度見たかった。

緊張感溢れる素晴らしい芝居だった。

私が観劇した1/27(土)マチネは有罪。
ソワレは無罪だったらしい。マチソワしたら違った結末が見られたのか。

以下、ネタバレ大いに有り。

海外公演の結果は無罪が圧倒的。
テロの恐怖が日本より身近だからか。
(山形旅行してた時に、まさにJアラート鳴り響いたけど、喉元過ぎれば熱さを忘れる)

この芝居については考えても考えても答えは出ない。
自分が持つ1枚の赤い券で結果が出るという事がとても重い。

舞台の構成は

1幕…事件の概要を観客(参審員)に説明
証人2人(ラウターバッハ中佐、ランツィスカ・マイザー)の証言

2幕…検察、弁護人の最終弁論

10分休憩の間に投票

3幕…判決

私が一番引っ掛かりを覚えたのし「何故避難命令が出なかったか」という点。

少佐は独断で違反を犯し、迎撃している。

彼にその選択をさせたのは誰?
避難命令を出さなかった責任は何処にあるのか?

7万人のスタジアムで行われているのは、国の威信を掛けたサッカーの国際試合。
これが国内のリーグ戦だったら?あっさりと避難命令は出されたのではないだうか。

もしサッカースタジアムでは無く、国中に甚大な被害をもたらす施設だったら?
迎撃の命令が下されたのでは?

ラウターバッハ中佐の証言も終始はっきりしない。

結局上の人は少佐がその決断を下すと判っていたのではないか。

少佐一人を生贄にする結論は怖いとも思うが、本人に罪の意識が薄いのも非常に怖い。

犠牲者を出すという自分の決断に全く迷いが無いのが恐ろしいと言ったら、「そういう人間ではないと、逆にその決断は出来ないのでは」と返された。
確かに…!

法廷劇なので当然台詞の応酬。
この日は検察官役神野三鈴さんの流れるような弁舌が見事で、弁護人の橋爪さんがやや押されている印象。
それが結果にも影響したとも思える。
外的要因に左右されるのももちろん法廷という場ならでは。

それが原因なのか「多分有罪になるだろう」と感じていた。

ただ弁護人の話は、より多くの人間を救うために、より少数の人間を意図的に犠牲にする」という事に議論が偏り過ぎていると聞こえた。

証人てあるランツィスカ・マイザーの、飛行機に乗っていた夫はコックピットに突入しようとしていたというのも、同情的にはなるが現実的では無いと思う。

有罪に導かれているようで、この感じ方だと無罪に導かれている気がする。
これも戯曲の罠だろうか。

一幕、二幕と裁判が進み、休憩のあと判決が出る。
裁判長である今井さんが静かに「有罪」を言い渡した時、何故だか涙が出た。

ミニョネット号事件の話が出たのだが、無罪はどんな脚本だったのだろう。

裁判長が最後に「皆さんの参審員の任を解きます」と言って、体から力が抜けるのが判った。

私は前述した「避難命令を出さなかった責任」が最後まで引っ掛かったので「無罪」。
休憩の10分が終わるギリギリに投票。こんなに悩むと思わなかった。

悩む事が正解なのかもしれない。
どんな結論に至ったにせよ、命の尊厳を忘れてはいけない。

この手強い戯曲に取り組んだ演出家さん、役者さん、裏方さん、素晴しかったです。

この芝居がライブビューイング等になって、普段芝居を見ないような、日本中のもっと多くの不特定多数の観客が判決を下すとしたら、どんな結果になるのだろう。

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