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新派『華岡青洲の妻』 

初春新派公演
『華岡青洲の妻』 四幕
三越劇場

作 有吉佐和子    
演出 齋藤雅文    
      
於継 : 水谷八重子   
華岡青洲 : 喜多村緑郎   
加恵 : 市川春猿 改め河合雪之丞   
小陸 : 波乃久里子 

春猿さん改め雪之丞さんの新派移籍第一作という事で観劇。
久しぶりの新派でしたが、凄く凄く良かった。
芝居そのものが良いのもあるが、舞台全体の空気感のようなものが非常に心地よかった。
上手くいえないのだけど、ああ、古い時代の日本なのだと、観客が肌で感じられるというか。

時代もののお芝居は、最近多く上演されているし、私も見る機会がある。
でも幕が開いた瞬間に、きちんと古い日本の空気が感じられる芝居は、なかなか思い当たらない。
若い劇団には出せない空気だ。

改めて壮絶な話である。
姑と嫁の戦いに目がいきがちだが、根はもっと深いと思う。

母と二人の姉妹。跡取り息子。
女だけの家族の中の唯一の男。
現代でもこういった家族構成だと、どうしても男の子に全員が甘くなる。
その中に嫁として入っていくのは、並大抵のことでは無い。

ましてこの物語の華岡青洲は父の跡を継ぎ、後世に名を残すほど優秀な医者である。
家族の期待はどれ程のものか。

彼は女たちに奉仕されて当然の位置にいる。

その青洲を演じるのは、喜多村緑郎さん。
(段ちゃんとか月ちゃんとか言いたいな…)
嫌味が無いのが逆に良い。
どんなに奉仕され、母と嫁が争っても爽やか。
それが逆にこの家族の人間関係の異常性を際立たせる。

青洲の研究の為にはすべてを捧げる母と嫁。
競い合い人体実験の為に身を投げ出す。
結局どれだけ役に立ったかが勝負なのだ。

研究の為の崇高な精神?私は背筋が寒くなった。

今回の舞台が良かったのは、この家の人間の異常性が際立っていたことだと思う。
製作側の意図は判らないが、私はその部分が一番面白かった。

何といっても雪之丞さんのが加恵が見事。
全四幕、幕が変わるごとに年月がたつのが、加恵の佇まいだけで判る。
最後、失明し年老いても凛として立つ姿が、美しかった。

弟子の米次郎役、喜多村一郎さんも爽やかで良かった。
小陸役の波乃久里子さんとは、年齢的にはバランスが悪いが、小陸の最後の台詞の壮絶さは、さすがである。
嫁にいく事を恐ろしさを語る所も良いが、何といっても「ねえさんは勝ったから…」の件りはゾクゾクした。

芝居の後はご挨拶。
ああ、本当に春猿さんとはお別れなんだと、寂しくなった。
「春猿」って良い名だった。

3時間15分、凄く充実した芝居だった。

次は6月に『黒蜥蜴』。楽しみだ。
雪之丞さんの緑川夫人はめちゃめちゃ合いそう。

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