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『悲しみを聴く石』

『悲しみを聴く石』
シアター風姿花伝
 

原作:アティク・ラヒミ
脚色:ジャン=ルネ・ルモワーヌ
翻訳:岩切正一郎
演出:上村聡史
出演:那須佐代子、清水優、中田顕史郎

出張と出張の合間の観劇で、感想が遅くなってしまったが、物凄くインパクトのある芝居だった。
数日たった今でも強い印象を残している。

イスラム圏のどこか。紛争の絶えない町の崩れかけている部屋の中。
負傷し目覚めない男と、その男に語り掛ける女。
その男の回復は絶望的であるが、女は妻である以上、避難する事を許されずに、爆撃にさらされながら看病を続ける。

紗幕で囲われた三方囲みの舞台。幕は途中で巻き上げられる。
出演者は3人だが、ほぼ那須さんの一人芝居。

女が語る結婚の経緯、夫との性生活、唯一の味方であるおばの境遇。
それは余りに生々しく、同じ女性としては聞いているのが辛い。

その閉鎖された空間に若い兵士がやってくる。
彼女は自分を守る為に娼婦だと嘘をつくが、後日くしゃくしゃの札を持って兵士は現れる。

彼女の状況を更に絶望に追い込むのかと思ったが、女を知らない若い兵士に体を与えることは、彼女が自分の意志でしたことなのかもしれない。
何もない廃屋の中で、不思議な時間が流れる。
兵士が持ってきたリンゴを齧る姿が、印象に残る。

彼女は物言わぬ夫に、ずっと理不尽な自分の境遇を語り掛けていたが、最後に衝撃の告白をする。
そこで夫は突然起き上がる。

夫がはじめて彼女の言葉を聞いた瞬間なのか。

あのラストも彼女が自分で選び取ったものなのか。

舞台美術含め、芝居の空気感が凄くリアルだった。
日本と違って建物が石で出来ているから、崩れると凄く埃っぽくなる。
その埃っぽさや渇いた空気が、見ている私に自然に伝わってくる。

夏に見たシリアの映画『それでも僕は帰る』の、爆撃された建物の中を思い出した。

彼女の生々しすぎる告白は、受け止めるのにかなりの体力がいるので、気軽に人にお勧めする事は出来ない芝居だった。
でも何年かたった後も、鮮烈に覚えている芝居だろう。

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