旧ブログ

  • 酒と芝居と旅の日々(旧ブログ)

    http://karintheater.seesaa.net/

    旅行関係の記事と2005年7月~2006年12月までの旧記事はこちら

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ

« 富士山はキレイでした | トップページ | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ 『マクベス07』 大阪 »

『朧の森に棲む鬼』ちゃんとした感想 ストーリー編

プレの時に脚本の方向と、演出の方向にブレを感じたのですが、今はそんなことは無い。
シェイクスピアを下敷きにした、歌舞伎でいうところの、書き換え狂言として、凄くおもしろい。
伏線の持っていきかたも上手い。

ドクロBOXの古田&染五郎対談を久々に見たら、「二人で共演したい」みたいな話をしていたのですね。古田さん最後に私も楽しみでしたよ、二人の共演は。それだけにもっとがっぷり組んだ場面が見たかったな~。なので牢の場面は凄いスキ。

以下、ネタバレ有、凄く長いです。

一幕冒頭、シュテンと「血人形の契り」を交わす場面、契りの瞬間にシュテンとキンタにのみ赤の照明があたります。ライは白のまま。キンタが何かを感じて、ぞくざくしたような演技をしています。(プレの時まではここでズバリ「ぞくっとした」という台詞があったのですが、本公演からカットされたようです。)二回目の観劇で気が付きました。多分私がわかっていないだけで、他にも細かい伏線が表現されているのでは?と予想。

「マクベス」っぽいのは、三人の魔女・魔女と契約を交わす・滅びの言葉(朧は「自分で自分を殺す」、マクベスは「女から産まれた…」と「バーナムの森」)の辺りかな?あとラストの矢が飛んでくるのが、「蜘蛛の巣城(マクベスベース)」っぽい。(他にもマクベスっぽい場面があったが、忘れてしまったー!)

この「自分で自分を殺す」のキーワードが、伏線の持っていきかたは絶妙なのだけど、大オチがちょっと弱いのが残念。

ライの破綻の過程

「キンタを裏切る」
一幕、ツナを襲わせたあと、「俺の嘘を本当に見せているのは、キンタ」という台詞がある。
キンタの真実がライの嘘を本当らしく見せていたのに、その大切なキンタを断ち切る。ここが破綻の第一で、その後のライの嘘が暴かれていく、重要なポイントかな、と思った。
この場面の古田さんが、さすがにライの行動にどん引きしているように見える。

「大王・シキプの殺害」
ツナにライの仕業と見抜かれている。これもキンタがいなくなったことにより、ライの嘘の真実味が薄れている。

「真実を言い当ててしまった」
重要ポイント!ツナを絶望させ為の、実は行方不明の兄がマダレだったという嘘が、真実だった。
(ここの古田さんの芝居で鳥肌たった。格好良いわ~。)
恐らくマダレは、キンタ殺害辺りから、ライと行動することに疑問を感じ始めていたと思うので(自分もキンタの二の舞になりかねない。自分には多くの子分もいるし。)、ここで一気にライを裏切ったという流れは凄く自然。

「他人の嘘に惑わされる」
シュテンの最後の大バクチ。この嘘に惑われるのも、実際にキンタの目が潰れる瞬間も見ていたのも大きいかと。
これはシュテンの自分の命を賭けた呪いだよね。

「悪党が情に流されたら終わり」
マダレに向けたライの台詞だけど、キンタにトドメがさせなかったライに、この台詞はそのまま返ってくる。

一応私の気付いた破綻の過程。ここまでは凄く良いのよ。結局ライの中の唯一の真実「キンタだけは信用・キンタだけは裏切らない」を破った結果、綻びが出てきているのですよ。
そのキンタへの裏切りも、自分に呪いをかけようとしたシュテンへの憎しみからきている訳で、今まで冷静に他人を騙してきたライが、冷静ではなくなった結果、後に大きな綻びを作る原因となってしまう。
こうやって自分で纏めてみたら、キンタの存在って、非常にライにとって大きかったんだな。キンタ裏切りが全ての破綻のはじまりであり、原因なのだもの。

結果「キンタを自分が生かした」と「自分の剣(舌)でトドメを刺される」がオチなのだろうけど、弱いんだよな~。破綻の過程が実に綿密に良く出来ているだけに、もったいない。

私は「朧の森を燃やそうとした」が実は大オチだと思っていました。ライは朧の森と契約して力を与えられたのに、その森を破壊するのは、まさに自殺じゃないですか。焼こうとしたが、森の怒りに触れ、雨が降る、だと思ってましたが、ここスルー…。残念。
演出的にも火→水って見栄えがして格好良いのだけど、これを使うとまんま「新・三国志 1」になってしまうのですよね~。

それと初見の時から言ってましたが、マダレの造型が薄い。さすがに古田さんが演じているので、31日の公演あたりからは、俄然存在感を増しましたが、もっと脚本でちゃんと書き込んであったら、この物語自体に、深みが増すと思う。
単に古田さんの出番が見たいというのもあるのだけど、とにかく染五郎さんが出ずっぱりで、ホント大変すぎなので、マダレの比重を少し多くすることで、染ちゃんの負担も減るしね。

でも一幕は上手く染ちゃんの着替え時間・休憩時間を入れてますね。

聖子さんワンマンショー…ボロ衣装から、普通の平民っぽい衣装に。
サダヲさんワンマンショー…検非違使の衣装に。

ただ二幕は衣装変えも多いし、時間も短いので、染五郎さん大変だよな~。

« 富士山はキレイでした | トップページ | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ 『マクベス07』 大阪 »

芝居・新感線関連」カテゴリの記事

コメント

花梨さん

深い!深いよぉー!!
破綻の過程を読んで勉強させて頂きました。(笑)
いやぁ~、たしかに破綻していく過程は、
本当に緻密に練られていますねぇ。
ライの嘘はキンタが居てこそ真実味を増していたのに、
そのキンタを斬ったことで自滅していくんですもんね。

いやぁ~、次回観に行ったら、
ますますキンタの存在が大きく見えそうです♪(笑)

麗さん、こんばんは。

いやいやいや、まだ私が気付いていないだけで、
色々伏線が張り巡らされていると思ってます。
キンタの存在の大きさは、自分でまとめてみて驚きました(笑)。

まだまだ観劇中に、新しい発見がありそうで、楽しみです。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/193925/4855003

この記事へのトラックバック一覧です: 『朧の森に棲む鬼』ちゃんとした感想 ストーリー編:

« 富士山はキレイでした | トップページ | りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピアシリーズ 『マクベス07』 大阪 »