リンク

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 能楽堂シェイクスピアシリーズ第四弾「オセロー」 | トップページ | 『タイタス・アンドロニカス』・感想 »

『レ・ミゼラブル』 大楽 別所バルジャン編 3

私にとっての4月はまさにレ・ミゼラブル祭り、別所哲也祭りでした。べっしーバル大好きからスタートした、私の新生レミ、結局アンジョルラスやら、マリウスやら、学生たちにも釘付けになってしまいました。

でもやはり私の基本は別所バルジャン!別所さんのバルジャンを見ていると、「贖罪」という言葉が浮かぶ。
生まれ変わろうとし、しかし市長として成功していく時に、間接的であり自分が不幸にした(とバルジャンは思っている)ファンティーヌの死。
ファンティーヌを抱きしめることに戸惑う演技も、自分の犯したことへの慄きを感じます。

「最後の戦い」
バリケード陥落。物言わぬ学生たち。別所さんのバルジャンは、最初に横に倒れている学生に気付き、そして周りの人間がみな息絶えていることを嘆きます。それからマリウスを探します。
この時の唸り声、下水道の蓋の持ち上げ方、楽に向けてどんどんパワーアップしていました。

「下水道」
大楽ではテナルディエの歌に拍手が起こりました。
mariさんのブログによると、別所バルは7回マリウスの担ぎ方を変えているそうです。担がれるマリウスも大変だとは思いますが、その分下水道の距離が長く感じられます。

ジャベールとの最後の対決なのですが、岡さんのジャベール、どうしても屈折した愛情をぶつけているように見える…。済みません。

大楽は去っていくときのバルジャンの頷きが、より深かったと思う。ただそこで時間を取られて、舞台袖にハケるのがやや早足に(苦笑)。
その後の「自殺」は、狂気のジャベールでした。

「バルジャンの告白」
この場面の別所さんは、更に年をとっています。マリウスを助けて、コゼットの今後を託すことが出来て、ホッとして老け込んでしまったのでしょうか?
バルジャンは充分心を入れ替えて立派に生きていると思われる人生なのに、本人は全くそう思っていないのですね。
そんなバルジャンの告白を聞いて、顔色が変わる岡田マリウス。別所バルが腰90度曲げて、コゼットのことを頼んでいるのに、儀礼的にしか返事をしない。自分がその前に見たのが、熱い泉見マリなので、場面から受ける印象の落差が凄い。

「結婚式」
原作に沿ったのか?バルジャンを疎ましく思うマリウスの演技。この演技プランが、この「結婚式」で非常に生きてくる。
岡田マリウスは綺麗に育ったお坊ちゃんに見えるので、バルジャンの過去を知れば、確かに疎ましく思ってしまうだろうという説得力がある。
それだけに自分を助けた相手が、バルジャンと知った時の驚愕と後悔がより大きい。楽はテナ殴り、お札投げがよりパワーアップしていました。

「エピローグ」
結婚式でマリウスとコゼットが去ったあと、やはり駒田&モリクミ夫妻は迫力がある!そしてこの日はダンサー給仕に釘付け!とても楽しい気分のあと、盆がまわり、奥から年老いたバルジャンが現れる。
この暗くなった舞台に、蝋燭の炎。浮かび上がるバルジャンの姿。
今年の梅田の別所バルのこの場面を見て、まるで一枚の絵画を見ているようで感動した。
梅田以前では年の取り方には感心しても、絵画のようとまでし思わなかったので、お客さんから見て「美しく」見えるよう、工夫をしているのでしょう。
燭台へのキス、神への祈り。この時の振り絞るような「神よ、わが主よ」という問いかけが切ない。

ここでバルジャンを迎えに来るのはファンティーヌ。バルジャンがファンティーヌへの贖罪で生きていたのなら、最期の瞬間にファンティーヌが現れ「重荷を降ろして」というのが、綺麗に繋がる。
しかし別所さんは手の使い方が上手い。ファンテに伸ばした手が、空をさまようのが、印象に残る。

マリウスに命を救われた話をされても、苦しそうに下を向いてしまう。バルジャンにとっては、「するべきこと」を行っただけで、讃えられることではないのでしょう。
跪く岡田マリウスの姿が、とても良かった。

別所バルジャンは、旅立つ前にコゼットの額にキスをする。リトルコゼットに「私の子だ」と言うときもキスをする。
物語の輪が閉じたようだ。

バルジャンが立ち上がったとき、それまでの曲がった腰が嘘のように、ぴんと腰が伸び、天を仰ぐ。民衆の歌が、空から聞こえてくるようだ。

別所さんのバルジャン、大好きな場面は多々あるが、やはり何といってもエピローグの創り方が凄い。一幕からのバルジャンの人生がここに凝縮される。燭台へのキス、コゼットへのキス。ファンティーヌとの関係。
このラストに至るまでの創り方、何度見ても感心させられた。

天上から聞こえてくるような民衆の歌を聴きながら、ついに『レ・ミゼラブル』のすべての公演は終わった。

感想は長く書くより、短く・簡潔にまとめたいのだけど、どういても今回のレミには語りたいことが余りに多くて、こんなに長くなってしまいました。
ここまで読んでくれた方、どうもありがとうございました。

すでに季節は5月(ちと寒いけど)、枡井賢斗くんに至っては次の舞台に出演中。2005年新生レミの感想は、一端これで一区切りです。もちろん書きたいことがあれば、また書きますが。

ああ、早くもう一度別所バルジャンに会いたいです!

« 能楽堂シェイクスピアシリーズ第四弾「オセロー」 | トップページ | 『タイタス・アンドロニカス』・感想 »

芝居・レ・ミゼラブル関連」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
『レミゼ』祭りからまだ抜け出せず、同じように熱い想いの方々のところへお邪魔しています。
『レミゼ』大楽の細やかなレポと情熱あふれる感想、読ませていただきました。
私まで、その場にいたような気持ちになり、たいへんうれしかったです。
23日ソワレで、4人目の別所バルに心から感動しました。
ぜひ、もう一度、再演の舞台でお会いしたいと思っています。

TBさせていただきました。また、遊びにきます。これからもよろしくお願い致します。

岡さんのジャベール、に屈折した愛情を感じる、という点、私も同意です。

岡さんだと、ジャベールの出「24653、よく聞け仮出獄だ」から異様に威圧的な感じがしますよね。最初は何で、こんなに端から喧嘩腰なんだろう?と思っていたのですが、ようするにこの時点で、すでにジャベールにとって、バルジャンは数多いる囚人の中の一人ではないんです。きっとバルジャンの事をよく調べていて、知っていて、それで自分と同じニオイみたいなものを薄々感じている。
病院での対決でも自分の出生のことを言ったり、「お前と同じウジ虫なのだ」とか言ってますし、ライバル心というか、似たもの同志ゆえの過剰意識を強く感じます。

それがどんどんエスカレートしていって、屈折して、偏愛になる気がします。自殺も、電撃的な失恋って感じの電流が走っているように見えます。

秋生さん、こんばんは。私も早速秋生さんのブログを見に行きました。
4バルジャン、3ジャベール、3アンジョルラス、3マリウスを制覇とは!凄い!私は別バル中心なので、どうしてもバルジャンが手薄です。
こちらこそよろしくお願い致します。

まり寿々さん、こんばんは。
やはり岡さんのジャベールには、屈折した愛情を感じますよね。

> ライバル心というか、似たもの同志ゆえの過剰意識

おお!なるほど。何故ジャベールがそういう思いを抱くのか、よく判ります。
更に別所さんは、そんなジャベールを理解しようという風に見えるので、特に愛情度が強く見えるのかもしれません。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/193925/4690399

この記事へのトラックバック一覧です: 『レ・ミゼラブル』 大楽 別所バルジャン編 3:

« 能楽堂シェイクスピアシリーズ第四弾「オセロー」 | トップページ | 『タイタス・アンドロニカス』・感想 »